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「救いの杯を上げて」詩編に親しむⅡ

PDF → 第14回修養会・救いの杯 詩編に親しむ2

第14回 奈良基督教会修養会
「救いの杯を上げて」詩編に親しむⅡ
 
2019年11月17日(日) 奈良基督教会
講話・司祭 井田 泉
聖歌 495 イエスよ、わが神よ
開会の祈り

Ⅰ 詩編第116編 わたしは主を愛する

・春に続き「詩編に親しむ」の第2回。今回は第116編を味わってみたい。
・新共同訳で1~7節をゆっくり一緒に読んでみる。(しばらく沈黙)

1. 「1 わたしは主を愛する。」
この言葉だけをまず大切にしたい。
いろんなことがあっても、ここにわたしたちの信仰と祈りと生活の中心がある。
ここに戻りたい。
「わたしは」 人がどうであれ、この世がどうであれ、わたしは。
「主を」 ほかに大切なものがあり、心をひかれるものがあるとしても、主を。
「愛する」 信じ、迷い、従い、逆らい、あるいは忘れていることがあったとしても、今、
     わたしは主を愛する。
      主の愛がわたしのうちに注がれ、流れ込んでいるのを思いつつ、わたしのほうからも、新しく主を愛する。
  この1節が、今日のわたしに伴い、わたしを生かす。
──こんなふうに詩編を毎日味わってみたい。それがわたしの慰め、励まし、力となる。

2. 「1 主は嘆き祈る声を聞き、2 わたしに耳を傾けてくださる。」
主は聞かれる。心を傾けて聞いてくださる。
「耳を傾けてくださった」と過去形に訳される場合もある。
過去あるいは現在の神経験の確認。主への信頼の告白。
わたしの嘆き、祈りを主の前に注ぐ。
──神さまとの関係(対話)はいつも整ったものである必要はない。本音で、子どものように訴え、あるいはつぶやくことも大切。

3. 「2 生涯、わたしは主を呼ぼう。」
新しい決意。今だけではなく、生涯にわたる決意をこの詩人は表明している。ここから主を呼ぶ人生が新たに始まる。
4. 「3 死の綱がわたしにからみつき、陰府(よみ)の脅威にさらされ、苦しみと嘆きを前にして
4 主の御名をわたしは呼ぶ。『どうか主よ、わたしの魂をお救いください。』」
詩人(作者)は死の危険にさらされ、恐怖におののいている。その中から主の御名を呼ぶ。


Ⅱ 詩編第116編と主イエスの最後の食卓

1. この詩編は主イエスが弟子たちと共にされた最後の食事(過越の食事)の終わりに歌われたとされる。
113~114編が過越の食事の前、115~118編が食事の後に用いられたという。
マルコ14章から
「23 また、杯を取り、感謝の祈りを唱えて、彼らにお渡しになった。彼らは皆その杯から飲んだ。24 そして、イエスは言われた。『これは、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である。……』26 一同は賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけた。」
 ここでイエスは弟子たちとともにこの116編を祈り歌われたに違いない。
とすれば、この詩編全体を主イエスの祈りとして読むことができるし、そうしてみたい。

2. 「13 救いの杯を上げて主の御名を呼び、
14 満願の献げ物を主にささげよう、主の民すべての見守る前で。」
「救いの杯」 最後の食卓において主イエスは救いの杯を上げ、祈られた。
そのとき「満願」とはすべての人が救われることであり、「献げ物」は主イエスご自身であった。
聖餐式の感謝・聖別の祈りの中で、司祭は杯を上げる。これは主イエスのなさったことを再現するもの。

3. 「15 主の慈しみに生きる人の死は主の目に価高い。」
このとき主イエスは、現実に迫るご自身の死をここに重ねておられたに違いない。
この詩編には「死」という言葉が3回出てくる(3、8、15節)。イエスはご自分に迫る(ご自分が引き受けようさされる)死を意識しておられただろう。

4. 「16 どうか主よ、わたしの縄目を解いてください。わたしはあなたの僕。わたしはあなたの僕、母もあなたに仕える者。」
ここでイエスは、ご自身とともに母マリアを思われたのではないだろうか。

5. 「18 主に満願の献げ物をささげよう、主の民すべての見守る前で
19 主の家の庭で、エルサレムのただ中で。ハレルヤ。」
この詩編は「ハレルヤ」(主を賛美せよ)で閉じられる。
イエスはここからオリーブ山のゲッセマネに向かわれる。
わたしたちも主イエスと共に、たとえ困難が待ち受けていてもそれに立ち向かい、賛美をもって進みたい。

(休憩)

♪カトリック典礼聖歌から「主の十字架を仰ぐとき」

Ⅲ 黙読と分かち合い

・詩編116編をそれぞれ読み、心にとまったひとつの節を書き写してみましょう。
(メモ)


・近くの人と感じたことを自由に分かち合ってみましょう。
(メモ)


結び

祈りのいくつかの要素
・呼びかけ 「どうか主よ」4、16節
・思いのつぶやき、訴え 「わたしの魂をお救いください」4
・救い、信仰の告白 「わたしは信じる」10
・祈願 「わたしの縄目を解いてください」16
・感謝 「あなたに感謝のいけにえをささげよう」17
・賛美 「ハレルヤ」19
・決意 「生涯、わたしは主を呼ぼう」

……

○詩編の中に、昔の(わたしとは違う)人の祈りを聞く。
○詩編の中に、自分の思い、祈りを発見する。つながり、響き合いが起こる。
○詩編の中に主イエス・キリストの祈りを聞く。
○詩編はわたしたちの信仰を養い守る。

祈り
祝祷
聖歌 495 イエスよ、わが神よ