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【説教】悲しむ人々に与えられる神の慰め
マタイ福音書 5:1-12
2023年1月29日・顕現後第4主日
京都聖三一教会にて
「悲しむ人々は、幸いである、その人たちは慰められる。」
マタイ5:4
今日はこの言葉に耳を傾けたいと思います。
山の上でイエスは、おびただしい人々が自分に従って来ているのをご覧になりました。悲しむ人、打ちひしがれた人、貧しい人、辛い現実に耐えている人々です。それでも神を求めて、正しく生きたいと願っている人々がいます。
人々の悲しみに触れたとき、イエスの心は悲しみに満たされました。一時しのぎの慰めを口にすることはできません。しかしこの人々を望みのない悲しみのままで立ち去らせることはできない。ここでイエスの心は呻(うめ)いて、この悲しむ人々に対して神は何と言ってくださるのかを、イエスは祈り求められました。
やがてイエスの心と口から言葉が響き始めました。
「悲しむ人々は、幸いである、その人たちは慰められる。」
神の慰めが、イエスの心と言葉をとおして、悲しむ人々の心を包みました。イエスの祈りをとおして人々の悲しみは神に届き、神の慰めはイエスの言葉をとおして人々を包みました。
ところで今から78年前、ひとりの韓国・朝鮮の青年が福岡の刑務所に捕らえられていました。名前は尹東柱(ユンドンジュ)といいます。日本が朝鮮を植民地支配していた時代の末期、尹東柱は平壌(ピョンヤン)、ソウルで学んだ後、日本留学を志し、はじめ立教大学に学び、ついで京都の同志社大学英文科に学びました。夏休みになり、故郷に帰省しようとして荷物を送った後に、下宿にいるところを下鴨署の特高に逮捕され、裁判にかけられました。判決は2年の懲役。罪状は独立思想を宣伝した、ということでした。しかし彼は特別に独立運動をやったわけではありません。彼はただ、失われていく、奪われていく朝鮮の言葉や文化を大切にしなければならないと友人たちと語り合い、また自分の言葉で詩や日記を書いただけなのです。それが治安維持法違反とされました。
78年前、尹東柱は福岡の刑務所で最後の冬を過ごし、衰弱の果て、1945年2月16日に獄死しました。満27歳でした。
彼は真実なクリスチャンで、信仰に関わる詩をいくつか残しています。
なぜ今日彼のことを話したかというと、彼が「悲しむ人々は、幸いである」というイエスの言葉を、自分の詩に歌っているからです。
それは「八福」팔복(パルボッ)という詩です。23歳の時のものです。
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