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【説教】御言葉を食べたエレミヤ
エレミヤ書 15:15‐21
2023年9月3日・聖霊降臨後第14主日
上野聖ヨハネ教会にて
預言者エレミヤ。今から2600年くらい前、ユダ王国末期に活動した人です。
当時のユダ王国は、新バビロニア帝国から圧迫されて、滅亡の危機にありました。けれどもさらにエレミヤを苦しめたのは、人々の心が神から離れてしまっている、ということでした。神から心が離れれば、偽りや搾取、暴力がはびこります。
エレミヤは、20歳前後でしょうか、神に捕まってしまいます。神は手を伸ばして、エレミヤの口に触れ、その口にご自身の言葉を入れてしまわれました。彼は願わないのに、一方的に神によって預言者とされてしまったのです(エレミヤ書第1章)。
彼の口に入れられ、彼の身体の中に宿った神の言葉は、今度はしばしば彼の口から出ようとします。エレミヤは黙っていたいのに、自分の中から言葉が溢れ出る。世と人の現実を批判する厳しい言葉を、神が彼に語らせられるのです。その結果、彼は非難、迫害を受けることになります。彼の故郷アナトトの人々までが、彼の命を奪おうとしました。
その時のエレミヤの嘆きの祈りが、今日の旧約聖書日課です。
「あなたはご存じのはずです。」エレミヤ書15:15
あなたは知っておられます。こう言ってエレミヤは神に訴えます。エレミヤの労苦も嘆きも、孤立も迫害も、神は知っておられる。そう彼は信じています。信じつつも、神が沈黙しておられるのが耐えがたい。彼の嘆きと怒りは、ついに迫害する者への復讐を神に求めるところまで達します。
「あなたはご存じのはずです。
主よ、わたしを思い起こし、わたしを顧み
わたしを迫害する者に復讐してください。
……
わたしがあなたのゆえに
辱めに耐えているのを知ってください。」15:15
「あなたはご存じです」あなたは知っておられます、と祈った彼は、今は「主よ、知ってください」と嘆願します。知っていてくださるはずの方に、もっとはっきり知ってほしいのです。この現実を、この苦しみを。
……