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フィリピの信徒への手紙 2:1-13
2023年10月1日・聖霊降臨後第18主日
上野聖ヨハネ教会にて
パウロは長い伝道旅行の間にいくつもの教会を設立しました。今日わたしたちは使徒書としてフィリピの信徒への手紙を聞いたのですが、そのフィリピの教会は、彼にとっては特別に大切な意味を持つ存在でした。二つの理由があります。
第1は、彼がヨーロッパ世界に足を踏み入れて設立した最初の教会がフィリピの教会だったことです。パウロはフィリピの町でリディアという女の人と出会って、彼女とその家族に洗礼を授けることになりました。これがフィリピの教会の始まりです。
第2は、彼がフィリピで伝道活動していたときも、そこから去った後も、彼とフィリピの教会の人々は、深い信頼と愛で結ばれていたということです。教会は神さまに集められた聖なる存在のはずです。しかし現実には人間の集まりですから、さまざまな問題が生じます。実際にパウロは、コリントの教会に対しても、ガラテヤの教会に対しても手紙を書きましたが、その口調は非常に激しく、教会の歪みや過ちを責める内容を含んでいます。
しかしフィリピの教会への手紙の口調はまったく違います。フィリピの教会は、いろんな圧迫や誘惑があったにもかかわらず、パウロが伝えた福音から逸脱せず、数は多くなくても着実な信仰の歩みを続けていました。そして今、パウロは迫害に遭って獄中に捕らえられているのですが、フィリピの教会はそのパウロのために祈り、また具体的な援助を続けてくれたのです。
けれどもパウロはこのフィリピの教会を喜び感謝しつつも、今そこに生じている危ういものを感じていました。何かというと、教会の中にひび割れが生じ、亀裂が生まれつつあるようなのです。放置すればこれは教会を内側から深く損なう危険があります。そこでパウロは慎重に言葉を選びながら愛をもって、しかし率直に語りかけました。それが今日の2章です。
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