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【講演】わたしが出会った尹東柱の詩とキリスト教信仰

日本聖公会 司祭 ヨハネ 井田 泉

2023年10月15日

大韓聖公会 ソウル主教座聖堂 フランシスホール

通訳・林永寅司祭

 *

わたしが尹東柱とその詩に出会ったのは、1986年の6月、今から37年前のことです。当時、わたしは満36歳でした。今わたしは満73歳なので、ちょうど人生の半ばで出会ったことになります。それ以来、彼はわたしにとって大切な存在であり続けてきました。

彼の詩と出会った1986年とその前後はどういう時代だったかを少しお話しします。

その2年前、大韓聖公会と日本聖公会の公式的な交流が始まりました。1984年の第1回日韓聖公会宣教セミナーです(ソウル)。その年、尹東柱詩集の日本語訳『空と風と星と詩』が出版されました。その次の年1985年、わたしは立教大学を退職し、聖公会神学院の専任教員となりました。その年の秋、第2回日韓聖公会宣教セミナーが大阪で開かれました。わたしは日本側の準備委員のひとりでした。その時のテーマは「わたしは主に罪を犯しました(サムエル下12:13)──両国聖公会の歴史をかえりみて」でした。その時日本側は植民地支配の責任を感じて非常に緊張し、ろくに発言できなかったことを記憶しています。

……

 

1. 初めに──尹東柱の詩と出会った頃

2. 「序詩」(1941)とイエスの祈り

3. 尹東柱とキリスト教信仰

4. 「新しい道」(1938)とイエスの歩み

5. 終わりに