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【説教】エリヤの霊とイエスの霊
列王記下 2:1-15
2024年7月28日・聖霊降臨後第10主日
京都聖三一教会にて
預言者エリヤはエリシャを自分の後継者と定めて、半強制的にエリシャを呼び寄せました。エリシャは決意してエリヤに従いました。エリシャは先生であるエリヤから多くのことを学びましたが、まだとても預言者として自立するどころではない。エリシャは自分の力のなさを強く感じていました。けれどもエリヤは年老いて、ついに別れの時が来ました。それが今日の旧約聖書です。
時は紀元前9世紀、北王国イスラエルはアハブ王の治世でした。アハブ王は軍事力と富と権力を拡大し、イスラエルは繁栄を誇るかに見えました。しかし事実は、潤っているのは一部の貴族と金持ち。多くの人々は重税と労働と戦争に苦しめられていました。神に対する真実の信仰は衰退し、道徳的退廃が生じました。エリヤはこのような時代に、イスラエルに信仰と正義を回復しようとして、命がけで働き戦ってきました。しかしもう地上の命は尽きようとしている。自分の後を、何としても若者エリシャに託したいのです。
今日の旧約聖書の初めのほうを読んでみましょう。
「主が嵐を起こしてエリヤを天に上げられたときのことである。エリヤはエリシャを連れてギルガルを出た。エリヤはエリシャに、『主はわたしをベテルにまでお遣わしになるが、あなたはここにとどまっていなさい』と言った。しかしエリシャは、『主は生きておられ、あなた御自身も生きておられます。わたしはあなたを離れません』と答えたので、二人はベテルに下って行った。ベテルの預言者の仲間たちがエリシャのもとに出て来て、『主が今日、あなたの主人をあなたから取り去ろうとなさっているのを知っていますか』と問うと、エリシャは、『わたしも知っています。黙っていてください』と答えた。」列王記下2:1-3
ギルガルからベテルへ、ベテルからエリコへ、エリコからヨルダンへと、二人は進んで行きます。エリシャはエリヤから絶対に離れたくない。エリヤを去らせまいとして、どこまでも一緒に従って行ったのです。
エリヤはここに至って、できることなら自分に与えられている神の力(神の霊)をエリシャに与えたいと切に願いました。エリヤは言いました。
「わたしがあなたのもとから取り去られる前に、あなたのために何をしようか。何なりと願いなさい。」2:9
エリシャは言いました。
「あなたの霊の二つの分をわたしに受け継がせてください。」
エリヤがしてきたような神のわざは、学びと経験を重ねてできるものではない。神の霊が必要なのです。「二つの分」とは、正式の後継者として授かる分という意味です。エリヤに働く神の霊を受け継がせてほしい。はっきりとエリシャは求めました。
……