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【説教】悪魔の策略に対抗して
マルコによる福音書 7:14-23
エフェソの信徒への手紙 6:10-20
2024年9月1日・聖霊降臨後第15主日
上野聖ヨハネ教会にて
主イエスは弟子たちに「主の祈り」を教えられました。その祈りをわたしたちも受け継いで祈り続けているのですが、その最後は「わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください」という祈りです。わたしたちは誘惑におちいりやすい。また悪に脅かされ、狙われている。そのことを知っておられたイエスは、わたしたちを守るために、この祈りをわたしたちの心と口に入れてくださったのです。
ところで今日の使徒書も福音書も、その「悪」を問題にしていました。まず福音書のほうでは、ファリサイ派の人々と律法学者たちの非難を退けた後で、イエスはこう言われました。
「外から人の体に入るもので人を汚すことができるものは何もなく、人の中から出て来るものが、人を汚すのである。」
マルコ7:15
「みだらな行い、盗み、殺意、姦淫、貪欲、悪意、詐欺、好色、ねたみ、悪口、傲慢、無分別など、これらの悪はみな中から出て来て、人を汚すのである。」マルコ7:21-23
わたしたちの心の中に侵入し、心を占領し、心を動かして悪を行わせる悪、闇の力をよくよく警戒するようにと、イエスは言われたのです。その悪は、人間関係や組織に浸透するし、また国家権力をとおしてすさまじい破壊を行うことがあります。
イエスご自身が世の悪に直面しておられました。それどころかイエスは悪の力によって迫害され、捕らえられ、最後は十字架につけられて殺されました。しかしそれによって悪の本性が暴かれました。イエスは悪の根源をご自分に引き受けて死んで、復活されました。イエスの十字架と復活によって、悪の根源は決定的に砕かれたのです(ヘブライ2:14)。
そしてイエスが再び来られる時、神の愛と救いが完全に世界を覆い尽くし、悪の最後のあがきは完全に消滅する。わたしたちはその希望の日を目指して生きるようにされたので、最終的には楽観的であることができます。
けれども現実にはなおこの世界には悪が力を振るっていて、人々を苦しめています。またあわよくばイエスの弟子であるわたしたちの目を狂わせて、悪に奉仕させようとします。
例えばガザでは、何の罪もない子どもたちの命が奪われています。その数は2万人に近いとも言われます。それなのにキリスト教国のはずのアメリカは、イスラエルへの武器提供をやめません。
また今日は9月1日、防災の日、ちょうど台風の最中にありますが、101年前に関東大震災が起こった日です。その大災害の上にさらにひどいことが起こりました。震災後の混乱の中で、根も葉もないうわさが広がった。新聞までがそれを書き立てた。朝鮮人が井戸に毒を入れた。朝鮮人が村を襲っているなどというのです。それを本気で信じた一般の人々が、何の罪もない朝鮮人を次々に殺していった。その数は6000人とも言われます。聖公会の信徒の中にも、あやうくその命の危険から脱出した人がいます。
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