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【説教】御自身、試練を受けて苦しまれたからこそ
ヘブライ人への手紙 2:9-18
2024年10月6日・聖霊降臨後第20主日
上野聖ヨハネ教会にて
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今聞いた福音書の最後はこういう言葉でした。
「神が結び合わせてくださったものを、人は離してはならない。」マルコ10:9
これは結婚式で用いられる言葉ですが、それを今は少し広い意味にとってこう受けとめてはどうでしょうか──神はわたしたちを御自身に結び合わせてくださった。だからわたしたちはそれを離してはならない。
神とわたしたちをしっかりと結び合わせていてくださるのがイエス・キリストです。この方を「ヘブライ人への手紙」(ヘブル書)は「大祭司」と呼んで、その意味を詳しく伝えようとしています。今日の使徒書にはその言葉が1回だけ出てきました。
「それで、イエスは、神の御前において憐れみ深い、忠実な大祭司となって、民の罪を償(つぐな)うために、すべての点で兄弟たちと同じようにならねばならなかったのです。」ヘブライ2:17
イエスはわたしたちのために「憐れみ深い、忠実な大祭司」となられた、と言われています。今日はこのことの意味を知りましょう。
「祭司」というのは神と人々を結び合わせる存在、神と神の民の間の仲立ちとなる重要な役割を担う人です。人々の抱える願い、苦しみ、祈りを心に深く受けとめて、それを神にしっかり届ける。人々の願いと感謝のしるしである捧げものを受け取って神にささげる。人から神へと執り成しをする役です。もう一方、必要に応じて人に神の教えを伝え、人々を祝福する。神から人への橋渡しをする役です。
旧約聖書では、モーセの兄弟アロン、またハンナの祈りを聞いて祝福したエリなどが代表的な祭司です。新約聖書のクリスマス物語には、イエスの母となるマリアが信頼する親戚のエリサベトを訪ねる場面があります。そのエリサベトの夫ザカリアが、エルサレムの神殿に仕える祭司でした。
祭司は、人々が生涯信仰生活を続けていくために、なくてはならない重要な存在のはずでした。けれども、祭司も人間なので弱さを抱えています。弱いだけならまだよいのですが、中にはその立場を利用して権力欲、貪欲に走る者、悪を行う者が出て来ます。神と人々の間を結ぶのではなく、その反対に神と人々との間に壁となってしまう場合がある。その最悪の例は、イエスを捕らえて死刑にするように動いた当時の大祭司アンナスとカイアファでした。
このような祭司、大祭司では人は救われない。そこで神さまは、まったく別の、ほんとうの祭司を立てられた。神と人々の間に立って、神の愛と神の意志を人々に注ぎ込み、また人々の願いや苦しみを深く受けとめて神へと橋渡しをする、真の大祭司を神は立てられた。それがイエス・キリストだ──これが、ヘブル書がわたしたちに語りかける内容です。それを今日の聖書から聞くことにしましょう。大きく三つのことが語られています。
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※写真は上野聖ヨハネ教会