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【説教】牧者となられるイエス
ヨハネの黙示録 7:9-17
2024/11/03 諸聖徒日
上野聖ヨハネ教会墓地礼拝
先ほど聞いた使徒書はヨハネの黙示録第7章でした。そこに描かれているのは天上でささげられている礼拝です。
ローマ帝国の迫害によってパトモス島という地中海の島に閉じ込められていた長老ヨハネは、ある日天に引き上げられて、この天上の礼拝を目撃させられたのです。彼はその礼拝の厳かさと力強さと美しさを経験し、その中であらためて神の偉大さとイエス・キリストの愛を深く感じていました。そのとき、彼は、天の長老のひとりからこう告げられました。
「玉座の中央におられる小羊が彼らの牧者となり、
命の水の泉へ導き、
神が彼らの目から涙をことごとくぬぐわれる」ヨハネの黙示録7:17
「玉座の中央におられる小羊」とは、イエス・キリストです。この方は今、おびただしい人々の礼拝を受けておられます。けれどもこの方は人々の感謝と賛美の礼拝を受けてじっと座っておられるだけではない。立ち上がって行動されるのです。何をされるのか。「彼らの牧者となり、命の水の泉へ導」いてくださる。
イエス・キリストはわたしたちに対しても、またわたしたちより先に天に召された方々に対しても、牧者、羊飼いでいてくださる。わたしたち皆を、守り、養い、命の水の泉へと導いてくださるのです。
このわたしたち全体の牧者である方イエス・キリストは、今日の福音書の中でこう言われました。
「悲しむ人々は、幸いである、
その人たちは慰められる。」マタイによる福音書5:4
なぜ悲しむ人々が幸いなのでしょう。家族や親しい人を失った者は、悲しみにくれて慰めを得ないのです。けれども、イエスは「その人たちは慰められる」と言われます。
わたしがその人々に対して責任を引き受ける。大切な人を失った人も、その失われた人も、わたしが羊飼いとなって守り養う。永遠の命を与える。わたしがその涙をことごとくぬぐう。そうイエスが言ってくださるので、わたしたちは慰めと希望と平安を与えられます。
そしてイエスの慰めと救いは、教会に属している、洗礼を受けた人びとにだけ限定されるのではありません。ヨハネ福音書10章でイエスはこう言われました。
「わたしには、この囲いに入っていないほかの羊もいる。その羊をも導かなければならない。その羊もわたしの声を聞き分ける。こうして、羊は一人の羊飼いに導かれ、一つの群れになる。」10:16
この囲い、つまり教会の中に入っていないほかの人たちに対しても、イエスは牧者であろうとされるのです。イエスの愛は広く深い。そのイエスのみ手の中で、先の人も後のわたしたちも、一つの群れとなる。
地上のわたしたちの教会と天上の教会は一つ。地上のわたしたちの礼拝と天上の礼拝は一つ。イエス・キリストが全体の羊飼いであり、しかもわたしたち一人ひとりの羊飼いでいてくださるのです。