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【説教】終わりまであなたの道を
ダニエル書 12:1-13
2024年11月17日・聖霊降臨後第26主日
聖光教会にて
今日の特祷でわたしたちはこう祈りました。
「主よ、どうか主の民の心を奮い立たせてください」
わたしたちの心は何によって奮い立つのでしょうか。それは聖書の言葉によってです。今日の使徒書の最後にこう言われていました。
「しかし、わたしたちは、ひるんで滅びる者ではなく、信仰によって命を確保する者です。」ヘブライ10:39
今の時代、世界のことも身近なことも悩みが多い。希望を失いそうになります。「しかし、わたしたちは」、わたしたちイエスさまを信じる者は、「信仰によって命を確保する者です」。わたしたちを奮起させる言葉です。
今日はダニエル書のお話をしたいのですが、その前に福音書に少し触れることにします。イエスはわたしたちに警戒を促されていました。
「そのとき、……偽メシアや偽預言者が現れて、……できれば、選ばれた人たちを惑わそうとする。」マルコ13:21-22
これは昔だけのことではありません。たとえば統一協会は、聖書の言葉を使ってキリスト教であるかのように近づいてくる。しかしその教えによれば、イエスの救いは不完全であって、彼らの教祖・文鮮明が再臨のキリスト、完全な救い主であるというのです。まさに偽メシアです。
ところで今日の福音書の冒頭で、イエスは「憎むべき破壊者が立ってはならない所に立つのを見たら」(マルコ13:14)と言われましたが、その「憎むべき破壊者」はダニエル書の言葉です(11:31、12:11)。イエスは多くの聖書の言葉をご自分のうちに蓄えておられましたが、このときダニエル書の言葉が口をついて出たのです。
少し歴史的背景に触れることにしましょう。イエスさまよりも200年近く前のこと。シリアのセレウコス王朝のアンティオコス4世エピファネスが勢力を振るって領土を拡大し、エジプトにまで遠征しました。「エピファネス」とは顕現、現れ、という意味で、自分が神の現れであると自称していたのです。そのアンティオコス・エピファネスがエルサレムの聖なる神殿を汚し、そこにゼウスの像を建てた。これをダニエル書は「憎むべき破壊者」と呼びました。アンティオコスはエルサレム神殿の財宝を略奪し、ユダヤ人にもギリシャの神々を拝むように強要しました。
イエスは、そのようなかつての迫害、聖なる神に対する冒瀆、戦争がやがてまた起こるであろうと、ここで語られたのでした。
さて、ダニエルのことをお話ししましょう。
あの「憎むべき破壊者」、ゼウス像がアンティオコスによって、エルサレム神殿というもっとも神聖な場所に暴力的に建てられた。そのような耐えがたい苦難と混乱の時代にあって、ダニエルは苦しみつつ祈っていました。「そのころわたしダニエルは、三週間にわたる嘆きの祈りをしていた」と記されています(ダニエル書10:2)。
「一月二十四日のこと、チグリスという大河の岸にわたしはいた。目を上げて眺めると、見よ、一人の人が麻の衣を着、純金の帯を腰に締めて立っていた。」ダニエル書10:4-5
彼は幻を見たのです。その麻の衣を着た人は、顔に稲妻を発し、目は松明の火のようで、腕と足は青銅のように輝き、話す声は大群衆の声のようでした。これは天使なのか。それ以上の存在なのか。ダニエルはその姿と声に圧倒され、恐怖に打たれて意識を失い、地に倒れてしまいました。
……