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【説教】祈ってくださるイエス

ヨハネによる福音書 17:20-26

復活節第7主日(昇天後主日)・2025年6月1日
上野聖ヨハネ教会にて

  *

イエスは復活されたあと、40日間にわたって弟子たちに何度も現れて、ご自分が生きていることを示されました。そして弟子たちの見ている前で天に昇られた、とルカ福音書および使徒言行録には記されています。そのとき、イエスは手を上げて弟子たちを祝福された。祝福し祈ってくださるイエスの姿、またその手は、見つめる弟子たちの心に刻印されました。どんなに心強くうれしく、弟子たちは感じたことでしょうか。
 
ところで天に昇られたイエスは、それっきりわたしたちから離れてしまわれた、というのではありません。地上において弟子たちのために祈ってくださったイエスは、今度は天において、父なる神のそばで祈っていてくださるのです。
パウロはこう言っています。

「だれがわたしたちを罪に定めることができましょう。死んだ方、否、むしろ、復活させられた方であるキリスト・イエスが、神の右にあって、わたしたちのために執り成してくださるのです。」ローマの信徒への手紙8:34

それですから、この説教の後、わたしたちはニケヤ信経を唱えますが、その昇天の場面、「……死んで葬られ、聖書にあるとおり三日目によみがえり、天に昇り、父の右に座しておられます」というところ。わたしたちのためにさらに祈るために天に昇られたのだ、と感じたいと思います。

さて今日の福音書は、最後の晩餐の終わりにイエスが祈られた場面です。ヨハネ福音書17章全体がイエスの祈りですが、長いのでそれを三つに分けて、A年、B年、C年で全体を聞くように選ばれています。今年はC年ですので、17章のイエスの祈りの第3の部分、祈りの締めくくりの部分です。何と祈られているでしょうか。

 「また、彼らのためだけでなく、彼らの言葉によってわたしを信じる人々のためにも、お願いします。」ヨハネによる福音書17:20

ここでイエスは、ご自分の直弟子だけではなく、「彼らの言葉によってわたしを信じる人々」、後の弟子、つまりわたしたちのために祈ってくださっているのに気づきます。イエスは祈りをもって、今もわたしたちを支えていてくださるのです。

ところで、今日の箇所を何度か読んでいて気づいたことがあります。それは、ここでイエスが神に向かって一度でなく三度も呼びかけておられる、ということです。21節「父よ、あなたがわたしの内におられ……」、24節「父よ、わたしに与えてくださった人々を……」、25節「正しい父よ、世はあなたを知りませんが……」。祈りながら神への呼びかけを何度も繰り返すのは、それだけイエスが切実に祈られたことを示しています。

ここでイエスは、わたしたちのためにどんなことを祈ってくださったのでしょうか。

……