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【説教】聖霊は一人ひとりに賜物を与えてくださる

使徒言行録 2:1-4
コリントの信徒への手紙Ⅰ 12:4-13

聖霊降臨日・2025年6月8日
聖光教会にて

今日は聖霊降臨日です。この日、主イエスの約束を信じて集まっていた祈りの群れに聖霊が注がれて、教会が誕生しました。それを引き継いでいるのが、世界の教会であり、またわたしたちのこの教会です。

今日は使徒書から聖霊の賜物のことをお話ししたいのですが、この前にまず、この日、何が起こったかを先ほど読まれた使徒言行録から確かめておきましょう。

「五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。」使徒言行録2:1-4

ここで人々が経験したことは何でしょうか。二つの言葉に注目しましょう。まず「激しい風」です。これは神からの風、神の息吹、イエスの命の息です。神の息吹が祈っている人々の群れに吹き込まれ、その息吹は体の隅々にまで浸透したので、人々は深く息ができるようになった。恐れからも葛藤からも解放されて、平安に満たされ、力がみなぎった。これが一つです。

もう一つは「炎のような舌」です。これは神の火、燃える神の愛の火です。神の愛の火が祈りの群れ全体を包むとともに、「一人一人の上にとどまった」。神の燃える愛の火が一人一人に宿ったのです。神の愛の火を受ければ、心は熱く燃える。喜びが溢れてくる。この喜びを伝えずにはおれなくなる。神さまと隣人のために何か良いことをしたくなる。

聖霊は神の息吹であり、神の愛の火です。このように「激しい風」、神の命の息吹と、「炎のような舌」、燃える神の愛の火を受けて、教会は誕生しました。

聖霊の風は自由に吹きます。一方は、ローマ帝国内を西へ西へと吹き、ギリシャの大都会コリントに至りました。そこに教会が誕生しました。あの聖霊降臨から約20年後のことです。コリント教会の創立と形成のために働いたのはパウロ、そして協力者にはアキラとプリスキラ夫妻、またアポロ、シラスとテモテがいました。パウロはコリントに1年6か月滞在して、人々に神の言葉を伝えました(使徒言行録18:11)。パウロがコリントを去った後も教会は発展を遂げ、数年後には少なくとも100名を超える会衆になったようです。

ところがそれから数年して、容易ならぬ事態がコリント教会に起こっていることがパウロに伝わってきました。何かと言うと、教会内の争い、対立です。「自分はパウロにつく」とか、「ペテロにつく」とか、「いや、アポロだ」、さらには「キリスト」だとか、教会内に分裂抗争が絶えない、というのです。

……