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【説教】ここに平和があるように

イザヤ書 66:10-16
ルカによる福音書 10:1-6

聖霊降臨後第4主日・2025年7月6日
上野聖ヨハネ教会にて

   *

今日朗読された3つの聖書のいずれも「平和」という言葉が出てきました。
まず旧約聖書です。

「主はこう言われる。/見よ、わたしは彼女に向けよう/平和を大河のように」イザヤ書66:12

次に使徒書です。
「大切なのは、新しく創造されることです。このような原理に従って生きていく人の上に、つまり、神のイスラエルの上に平和と憐れみがあるように。」ガラテヤの信徒への手紙6:16

そして福音書です。
「どこかの家に入ったら、まず、『この家に平和があるように』と言いなさい。平和の子がそこにいるなら、あなたがたの願う平和はその人にとどまる。もし、いなければ、その平和はあなたがたに戻ってくる。」ルカによる福音書10:5-6

まず今日の旧約聖書・イザヤ書第66章に注目しましょう。遠い昔、神の都と呼ばれ、人々の信仰と生活の拠り所であったエルサレムは、外国の軍隊によって破壊され、廃墟のようになってしまいました。人々は打ちひしがれ、不安と混乱と絶望の中にありました。けれどもそこに、神さまは新しい世界を造り出そうとされます。預言者はこう呼びかけます。「彼女」とはエルサレムのことです。

「エルサレムと共に喜び祝い/彼女のゆえに喜び躍れ/彼女を愛するすべての人よ。
彼女と共に喜び楽しめ/彼女のために喪に服していたすべての人よ。
彼女の慰めの乳房から飲んで、飽き足り/豊かな乳房に養われ、喜びを得よ。」66:10-11

ここから主なる神ご自身が語り出されます。戦争と抑圧に打ちひしがれ、貧困に苦しみ、不安におびえてきた人々に神が語りかけられます。
「主はこう言われる。/見よ、わたしは彼女に向けよう/平和を大河のように。国々の栄えを洪水の流れのように。」66:12

干からびた世界、争いと不安に疲弊した地に、わたしは平和を送る。滔々たる大河のように平和を満たす、と主が言われるのです。

「あなたたちは乳房に養われ/抱いて運ばれ、膝の上であやされる。」66:12

お母さんに抱かれ、その乳房で養われる赤ちゃん。抱いて運ばれ、膝の上であやされる幼子。何という安心でしょう。柔らかな愛に包まれ、幸福で、満ち足りて、何の心配もありません。

それをしてくださるのはだれか。
「母がその子を慰めるように/わたしはあなたたちを慰める。/エルサレムであなたたちは慰めを受ける。」66:13

実は、わたしたちを膝の上であやしてくださるお母さんとは、神さまのことだったのです。

……