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【説教】誘惑に遭わせないでください

ルカによる福音書 11:1-13

聖霊降臨後第7主日・2025年7月27日
京都聖三一教会にて

 *

この前の主日は、福井に行っておりました。北陸伝道区霊交会(合同礼拝)が福井聖三一教会で開かれ、説教と午後の講演の依頼を受けて、話をしてきました。40名あまりの合同礼拝は非常によかったと感じました。何が良かったか、一つだけ挙げるとすれば、みんなで一緒に唱える箇所──大栄光の歌、ニケヤ信経、主の祈りなど──が、急がずバラバラにならず、一句一句みんなで丁寧に声と心を合わせて祈ることができた、ということです。

礼拝が生きていればわたしたちは力を与えられる。学ぶことと祈ることで教会は成長する。どうかあらゆる教会がそうであってほしいと願います。
 
同じ日に参議院選挙が行われました。その結果についてわたしは非常に憂慮しています。「日本人ファースト」を唱えて外国人を排斥するような党が、天皇主権を唱えてわたしたちはそれに服従すべきだと主張する党が大幅に議席を増やした。これは危険なことです。80年前までの日本はこのような力に覆われていました。この程度の説教をするだけでも警察に引っぱられた。実際に京都復活教会におられた河崎直(すなお)司祭は、国家(国体)に反するようなことを語ったというので捕らえられ、数ヵ月の獄中生活をされたのです。
そのような政治を二度と繰り返させてはなりません。わたしたちは歴史と聖書からもっと学びたい。特に、イエスに流れ込んでいた預言者の精神に触れたいと願います。
 
さて今日の福音書は、イエスが弟子たちに祈りを、祈ることを教えられた箇所です。イエスに「祈りを教えてください」と願い出たのは弟子たちの一人ですが、イエスは祈りを弟子たちみんなに教えられました。2節を見ると、「そこで、イエスは言われた」とあるのですが、一つの単語が訳されていません。イエスは「彼らに言われた」と原文には書かれています。つまり皆がイエスの語られることを聞いた。一人の勇気ある発言、一人の率直な質問が、皆の益となったのです。

「そこで、イエスは(彼らに)こう言われた。『祈るときには、こう言いなさい。父よ、御名が崇められますように。……』」ルカによる福音書11:2-4

お気づきだと思いますが、これは主の祈りです。このようにして主イエスご自身の祈りは、わたしたちの祈りとして与えられることになりました。

今日は、ここでイエスが教えられた祈り全体ではなく、その最後の一つの祈りを大切に心に留めたいと思います。
「わたしたちを誘惑に遭わせないでください。」ルカ11:4

弟子たちが、わたしたちが誘惑に遭うことの危険を、その恐ろしさをイエスは知っておられました。それは、ご自身が誘惑に遭って死ぬほど苦しまれたからです。

……