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【尹東柱の詩 ──「白い影」「たやすく書かれた詩」を中心に】
2026年 尹東柱追悼式 講演
2026年2月14日
同志社大学今出川キャンパス寧静館
- 尹東柱、日本留学前後の日本の状況の一端
- 「白い影」
- 「たやすく書かれた詩」
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昨年(2025)10月11日、立教大学キャンパスに尹東柱記念碑が建立されました。今日は、尹東柱の立教大学時代の五つの詩から二つを皆さまとご一緒に味わってみたいと思います。その前に、当時の日本の時代状況にいくらか触れておくことにしましょう。
- 尹東柱、日本留学前後の日本の状況の一端
尹東柱が日本に来る7~8ヵ月前の京都での出来事です。
1941年7月26日、黄善伊牧師(京都朝鮮基督教南部教会)ら5名が検挙された、ということが当時の『特高月報』昭和16年10月号に載っています。タイトルは「在京都民族主義朝鮮基督教々徒検挙取調状況」というものです。その中にこういうことが記載されています。同志社大学神学部2年生の玉川光作(玉文錫)が説教の中でこう言った、というのです。
「我等がキリスト復活を信じ我々朝鮮民族も同様に復活すると確信するならば我等の信仰は偉大であり世の何ものとも交換する事の出来ない程貴いものとなる。」
「如何に困難なる苦境に於ても福音を伝へるのが主の御意であればこそ我等は奴隷となった同胞のために戦はねばならぬ。」
わたしも50年ほど前に同志社大学神学部で3年間(1972~1975)学んだ者ですので、彼は30年ほど先輩に当たります。
端的に言えば、玉川光作(玉文錫)神学生は礼拝の説教で、「キリストの復活を信じることは朝鮮民族の復活を信じることだ」と言った、というのです。そのように確信するならば、「我等の信仰は偉大であり世の何ものとも交換する事の出来ない程貴いものとなる」。民族の独立を信じることこそが偉大な信仰である。彼が検挙されてその後どうなったかわからないのですが、これは当時として許されない思想。治安維持法違反です。
「如何に困難なる苦境に於ても福音を伝へるのが主の御意であればこそ我等は奴隷となった同胞のために戦はねばならぬ。」
朝鮮人は日本の奴隷となっている。キリストの福音を宣べ伝えることは、奴隷となった同胞のために、つまりその解放のために戦うことだ、と説教した。これで彼は特高に検挙されたのです。おそらく尹東柱も、公にそういう表現をしなかったにせよ、同じ願いを抱いていたに違いありません。
当時の同志社の神学部の先生方は、どういう信仰を、どういう福音を教えておられたのか。それを明らかにしなければならないと思います。
この特高による検挙事件から40日あまり後の9月9日、尹東柱は京都大学出身の哲学者・三木清の『構想力の論理 第一』を購入しました。彼の蔵書リストにそれが記載されています。彼が日本に留学するのはその約半年後です。尹東柱は、当時の日本の社会状況、思想状況に強い関心を持っていたことがわかります。
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