- - 【講話】アブラハムの物語(3)
- - 【説教】シラ書に学ぶ信仰と知恵
- - 【講話】教会の戦争協力への反省から
- - 【論文】『基督教週報』に見る紀元節大礼拝(1939年)
- - 【聖餐式の言葉から 5】
- - 【説教】御言葉を食べたエレミヤ
- - 風が吹いて【尹東柱の詩 5】
- - 【講話】アブラハムの物語(2)
- - 【説教】主よ、わたしを憐れんでください
- - 【第8回 日本聖公会 いのちをみつめる祈りの集い】「教会の戦争協力への反省から」
- - 【聖餐式の言葉から 4】
- - 【説教】祈っておられるうちに
- - 【説教】執り成してくださる方
- - 弟の印象画【尹東柱の詩 4】
- - 【説教】種を蒔くイエス
- - 【聖餐式の言葉から 3】
- - 【説教】キリストの中に入る洗礼
- - 【聖餐式の言葉から 2】
- - 【説教】一人の従順によって
- - 【説教】鷲の翼に乗せて
祈りと聖霊の注ぎ─イエスの洗礼
ルカ3:21-22
今日はイエスさまの洗礼記念日です。
イエスさまが洗礼を受けられた。この事実を心にとめましょう。場所はヨルダン川、洗礼を授けたのは預言者と呼ばれたヨハネ。たくさんの人が一緒に洗礼を 受けました。大勢の人が一緒だったことは「民衆が洗礼を受け、イエスも洗礼を受けて」という言葉から、それを知ることができます。
イエスさまの洗礼において何が大事であったか。ルカ福音書はこう語ります。
「民衆が洗礼を受け、イエスも洗礼を受けて祈っておられると」
イエスは祈っておられました。神に呼びかけ、神に語りかけておられました。心が神に向かっていました。多くの人々と一緒でした。イエスが祈っておられたと き、その祈りは多くの人々と別にあったのではありません。人々の祈りと共に祈っておられた。人々の祈りがイエスの祈りとなりました。祈りは人から神に向か います。人々から、イエスから、祈りが神に届きました。
するとひとつのことが起こりました。
「イエスも洗礼を受けて祈っておられると、天が開け、聖霊が鳩のように目に見える姿でイエスの上に降(くだ)って来た。」
聖霊がイエスの上に降って来た。人から神へ、イエスから神へだけではなく、神がそれに答えてくださいました。一方通行ではありませんでした。神から人へ 来たものがあります。神からイエスに届いたものがあります。聖霊です。イエスから神に向かう祈りに対して、神からイエスに向けて聖霊が降って来たのです。
聖霊。神の力です。聖霊は何をなさるのか。聖霊によって何が起こったのでしょうか。
「すると、『あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者』という声が、天から聞こえた。」
聖霊は神の声を聞かせたのです。「あなたはわたしの愛する子」。聖霊によって、自分が神に愛されていることがはっきりと分かった。耳に聞こえからだが揺 さぶられるほどに、神がわたしを愛しておられることが分かった。それが、イエスが祈っておられるうちに起こったことでした。
祈っているうちに聖霊が降る。それは私たちにも起こることです。「神の愛」という言葉は漠然としているかもしれません。しかし聖霊は神の愛を私たちに体験させるのです。
イエスに起こったことは私たちにも起こる。イエスさまのことは私たちにも当てはまります。
「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」。
イエスが聞かれたこの言葉を、私たちのこととして私たちの耳に聞こえさせるのが聖霊です。
「わたしの心に適う者」とあります。良い訳です。けれどもわたしはこれをこう訳したい。
「あなたをわたしは喜ぶ」「あなたの中にわたしの喜びがある」
「あなたをわたしは喜ぶ」と神が言ってくださる。「わたしはあなたがうれしい。あなたの中にわたしの喜びがある」と神がこのわたしに言ってくださる。
「あなたはわたしの愛する子、あなたをわたしは喜ぶ」
この声を神が、聖霊が私たちにも聞かせてくださいますように。また私たちをとおして多くの人々に聞かせてくださいますように。
(2005/01/09)