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士師記6:11-24
2022年2月6日・顕現後第5主日
上野聖ヨハネ教会にて
時は紀元前12世紀、イスラエルに王国ができる前のことです。イスラエルの人びとはミディアン人によってひどく苦しめられていました。強大な力を持ったミディアン人が、収穫の季節になると決まって攻め寄せ、あらゆる作物を略奪していくのです。
士師記の第6章4節にこう記されています。
「彼らはイスラエルの人々に対して陣を敷き、この地の産物をガザに至るまで荒らし、命の糧となるものは羊も牛もろばも何も残さなかった。」
イスラエルの人々は、自分と自分たちの生活を守るために洞穴(ほらあな)や要塞に隠れなければなりませんでした。生存そのものまでも脅かされていたのです。弱り果てた状態の中から、イスラエルの人々は主に助けを求めて叫びました。
ここに一人の若者が登場します。名前はギデオン。今日の旧約聖書日課の最初のところを読んでみましょう。
「さて、主の御使いが来て、オフラにあるテレビンの木の下に座った。これはアビエゼルの人ヨアシュのものであった。その子ギデオンは、ミディアン人に奪われるのを免れるため、酒ぶねの中で小麦を打っていた。」士師記6:11
場所はオフラというところで、ガリラヤ湖からは南西の方角にあたります。
大きなテレビンの木の陰に、ギデオンの父親ヨアシュの所有する酒ぶね(ぶどうを踏み潰して液状にする、浴槽のような形のもの)があったのでしょう。その酒ぶねの中でギデオンは小麦を打っていた。5月ごろでしょうか。本来なら収穫の喜びと感謝のあふれる季節です。ところが今は収穫のときこそ大きな危機でした。いつミディアン人が攻め寄せて来るかわからないからです。ミディアン人の目を避けて、不安におののきつつ小麦の脱穀をしている──それがギデオンの姿でした。
そこへ主の御使いが彼に現れて言いました。
「勇者よ、主はあなたと共におられます。」6:12
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